第64章

島宮奈々未の心臓は胸から飛び出しそうなほど早鐘を打っていた。彼のジャケットを羽織り、その匂いにすっかり包み込まれ、頭の中は完全に真っ白になっていた。

彼のキスは次第に深くなり、まるで彼女と溶け合おうとするかのようだった。

島宮奈々未が別れを切り出して以来、丹羽光世の胸にはずっと重い石がのしかかっているようだった。

息も絶え絶えだった。自分がずっと守り、慈しんできた少女の心に自分がいないばかりか、あろうことか別の男の子供を産んでいたのだ。

未婚の母!

成人したばかりの彼女に、心から子供を産みたいと思わせるなんて、一体どんな男なのだ?

丹羽光世はその男に嫉妬し、狂おしいほど嫉妬してい...

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